「え!?見たの……?」
不細工な寝顔を……。
「桜ちゃん、ちゃんと鍵閉めなきゃ危ないよ?」
「入ったくせにそんなこと言えないでしょ?」
「そうだね」
啓の笑顔は、どんなことでも許しちゃいそうなくらい可愛い。
「じゃあ、あたし帰ります」
駅までの行き方を教えてもらい、お金を借り、帰る準備もできた。
「朝ごはん食べていけば良いのに」
「いやいや、いいです。また今度改めてお礼にきますね」
「お礼なんていいよ。それより気を付けて帰ってね」
「近いし大丈夫です。じゃあ」
啓にお礼を言い、ポケットに借りた千円がちゃんと入っているかを確かめ、あたしはエレベーターに乗って降りた。