「あ、目覚ましたんだね。よかった」
部屋に入ってきてあたしを見るなりそう言ったのは、同い年くらいの知らない男の人だった。
……誰よこの人。
まさか誘拐?
「あの……貴方誰ですか?」
「あ、僕は日向 啓(ヒナタ ケイ)って言います。」
警戒心丸出しのあたしとは正反対のその人は、ニコニコ笑っている。
「ここ何処ですか?何であたしこんな所に……」
「ここは僕の家なんだけど……君、家の前の廊下で倒れてたんだ。救急車を呼ぼうか迷ったんだけど、見たところ怪我も無いし気を失ってるだけみたいだったから、家の中にあげさせてもらったよ」
…嘘くさい。