「なぁ、泣いてんのか?」
女の子は、首を横に振った。
「ふーん。じゃあ、それ」
「え?」
隆が差したのは、女の子が手にしている可愛く包装されている小包。
「チョコ、だろ?」
「うん」
女の子が小さく返事を返すと、隆は。
「それ、俺に頂戴」
「これ?」
「うん」
女の子は、隆の言っていることに、困った。
このチョコは、あの人の為に。
しかし、さっき振られたし。
食べてくれる人もいない。
悩んでいる女の子を見て、隆は笑った。
「な、なんで笑うの?」
怒ったように聞けば、隆はごめんごめん、と謝った。
「眉間。シワ出来てるよ」
くれるの嫌なら無理しなくていいから。
そう、後に付け足し、空を見ている隆に、女の子は息をのんだ。