少し待つと、


『ふあー、よかったぁ……!』


出てくるのなんて気にしなくても分かるくらいでかい独り言言って出てきた。


『間に合ってよかったな?』


柱の後ろにいたオレに気付いてなかったらしくオレの声が聞こえてビクッと体が震えてた。


ニヤっと笑うとカァアアアって一気に顔が真っ赤になる。


『い、いたんですか……恥ずかしいとこばっか見られますね……』


『顔真っ赤になりすぎだろ』


『こ、これは……恥ずかしいとこうなっちゃうんです……』


声がちっちゃくなっていって下を俯いてる。

可愛いな……、コイツ。


『名前、なに?』

『……へ?』


背が小さいコイツは赤い顔のまま上目遣いでオレの方を見てくる。


『名前、教えて』


いつもの女子と接するような声で優しく聞くと、


『乃咲……兎です……』なんて照れながら言った。

『兎……か、なんか名前あってるな』


背も小さいし危なっかしいとこ兎(うさぎ)にそっくりだ。