豊田先生と出会った春が来た。

私はいいと断ったのだけどどうしてもといので

あの日のリベンジという名目で焼き肉を食べに来ていた。

私に彼氏ができたと報告したら喜んでくれた。

良かった。

あの時、過ちを起こしていたらきっと今みたいにはいられないもんね。


「ねぇ、豊田先生。1つお願いしたいことがあるんだけど?」

「なになに?」

「桜並木一緒に歩きたい」

あの日とは打って変わって穏やかな春の夜だった。

一緒に歩きながら私は思い出していた。

24の春、私はこの桜並木を豊田先生に似た大好きだった彼と歩いていた。

まさか4年経って激似の人とこの道を歩くなんてあの頃は思いもしなかった。

なんて思ったら思わず笑ってしまった。

「ももちん、どうしたの??」

「先生が言ってたあれホント?」

笑った本当の理由は言わなかった。ただずっと疑問に思っていたことを投げかけた。

「最初に付き合った人に似てるっているの」

「嘘なんてつくわけないじゃん。ホントだよ!!」

そう言って、頭をぐちゃぐちゃにした。

真相はわからないけどまぁ、もういっか。

あの恋以降、男の人って信用できないって思っていたけど人は1人では生きていけないことに気づかされた。

そのおかげで私は大切な人を見つけることができた。

豊田先生、ありがとう。

あの日、先生は何度も私にありがとうと言ったけど、ホントは私の方がありがとうって言わなきゃいけないね。

先生の行動に戸惑ったことは事実だけど、そのおかげで見失っていたことに気づけたから。