「お客様、代金を・・・・・」



受付の女性が、困ったような笑顔を浮かべていた。



「あ、す、すいませんっ・・・・・颯人っ」



「魚見るだけで、金取るの?俺初めて知っ・・・・・」



何かを言いかけた?
まぁ・・・・いっか。
颯人は、当然お金を持っていない。
大人券を二枚買い、受付の女性に渡す。



「では、ごゆっくり楽しんできてください」



先ほどとは比べものにならないほどの笑顔で、手を振り頭をさげる女性。



「もう行ってもいい?」




「うん」




「じゃぁ行こう~」



中には色鮮やかな魚がたくさんいた。
水族館だから、当たり前か。

颯人は、どんな魚を見ても楽しそうに見ていた。
本当に初めてなんだ・・・・・・。



「ねぇねぇ、見てこの魚
地面から顔だけ出てるよ~」




「・・・・そうだね」




「これ、クラゲだ~」




「うん」



「鈴ちゃん、楽しくないの?」




「うん
・・・・・・・・え?」




しまった・・・・・。
適当に返事してたからつい・・・・・・・。