飲み物を渡されたので、一応お礼を言うと、幸先輩は軽やかに微笑んで自分の飲み物にくちをつけた。

白い細くて長い指が紙コップを包み込む。
綺麗だけどやっぱりどこか男らしいゴツさのある手の中指に光る指輪が妙に色っぽい。


『一緒に観る気ですか?
隣に人がいると、私集中できないんですけど』


チケットも飲み物も買ってもらっちゃったけど、頼んでないし、それとコレは別のはなしだ。


私は幸先輩を少し睨み付けていかにも迷惑だという顔をして言った。



幸先輩は一瞬ぽかんとした顔をして
次の瞬間にはニヤリと意味ありげな顔で笑い、私とひとつ席を空けるように横の席にずれて涼しげな顔で前に向き直っていた。



…。

まぁいいか…。

とりあえずこれで集中して見れそうだ。