『……待って!聖!』


聖は私の言葉にピクリとも反応せずにマンションの部屋に向かっていた。


聖の部屋の前で、聖は鍵を取り出しながら、やっとこっちを初めて見た。



それは凄く無表情で
感情は読み取れなかった。



『……怒ってる?』


『…怒らせるようなことをしたの?』


表情を変えずに淡々と言う。




『…………。』



『…早く家に帰りな』



『…嫌。』



『…あっそう。じゃあね。』



『……?!…聖!
今日は入れてくれないの?』



『……嘘をつくコは

もういらないよ』





『……聖!
ごめんなさい…!!

嫌いにならないでぇ…!』






カチャ…





ボロボロと流れる涙と、
それをただ黙って見下ろす聖の後ろのドアが開いたのに気づくのは彼女の声がしてからだった。




『…ちょっと聖くん!

煙草買いに行ったんじゃなかったの??』




聖の部屋から現れたのは、
綺麗な黒髪ストレートで猫のような目が印象的な女性だった。



『ユカ!
お前もそんなカッコで出てくるな!!』



その女性はレースを侍らせた下着キャミにカーデガンを軽く羽織った格好で顔をのぞかせていた。




『まぁま、
そこじゃご近所さんに筒抜けだよ〜。

中で話しなよ、ね?』




彼女は聖の言うことにあっけらかんとし、部屋の中に誘った。



聖は少し不機嫌に私の腕を掴み
部屋にいれてくれた。