『好きだよ』





一瞬、異国の言葉のように聞こえ
聞き流してしまうところだった。



その甘い囁きを、
聖の言葉と重ねて想像する。





『…好きだ』






向かい合わずに
後ろから囁かれる言葉は
なんて甘く切なく聞こえるんだろう。







私は何も応えなかったけれど

それが正解のような気がしていた。







その声は

あまりにも遠くで響いていて

届かない想いを吐き出してるように聴こえたから。