駅と反対側の道を十分ほど歩くと住宅街に出た。


その一角にある一軒家の前で
幸先輩が足をとめる。


『ココ、俺の家。』


綺麗な白い壁にモダンな造りの家は、表札に幸先輩の名前を載せていた。



『誰もいないから、どうぞ?』



玄関を入り二階に続く階段を上る。

幸先輩は無言で、でも期限良さそうに私の手をひいて部屋まで連れて行った。



『テキトーに座ってて。

お茶?ジュース?どっちがいい?』



『……ジュース』



『ん。
ちょっと待ってて。』



そう言うと、幸先輩は
階段を降りていった。



幸先輩の部屋には雑誌や文庫やマンガ、よくわからない洋書など、本で囲まれていた。


それ以外は物という物はなく、
気になるのは机の上にあるいくつかの未開封のプレゼントだった。



『…おまたせー。……あれ?』



机の上のプレゼントに触れているところにやってきた先輩は、少し気まずそうに笑った。



『誕生日近かったからねー。』


視線を向けると先輩はその視線から目をそらして、飲み物をテーブルに置き終えると手招きをした。