吸い殻を捨てようと
ポケットに手を入れた。

いつもなら携帯灰皿があるのに
どうやら今日は忘れたらしい。



…公園の中にあるだろう。



タクシーの運転手にことわり、
公園に足を踏み入れた。



…それにしても林田遅いな。
…ついでに様子も見に行くか。



灰皿は公園を入ってすぐのベンチの横にあった。


予想以上に周りが薄暗くて
捨てようとしたタバコは灰皿の銀の縁にあたって地面に落ちてしまった。


…はぁ。
…今日は絶対ツイてない。


ダルい気持ちになりながら
地面に落ちた吸殻を拾おうと
屈んだ瞬間に眼の端にチラチラと光が差し込んできた。







…林田が飲みすぎたせいか。

……携帯灰皿を忘れたせいか。



………出逢うタイミングは

いつも近くに存在していたのかもしれない。