『…唯、嘘はダメだよね…』



心臓がドクリと
音をたてて揺れた。


相変わらず声は優しいのに

その中には冷ややかで
ゾクリとするような怖い雰囲気が隠れている気がした。



肉食獣に捕らわれた小動物
のように聖に追い詰められる。



『コレ、どうしたの?』



聖の細くてしなやかな指が
キラキラと光る金属製のものを
掴みあげていた。





……幸先輩の指輪だ。




『今までの話の中には
出てきてなかったよね?指輪の話』



聖の静かで優しげな口調の下に
見え隠れする鋭く刺すような何かに、
全身が震えてうまく声がでない。



いつもは優しすぎるくらいなのに、
一度、こうなってしまうと容赦なく責められる。




『”約束”忘れちゃった?』



『わ…すれてな…い』



その冷たい目に見られてると
呼吸さえもうまくできない。



『”聖の≪一番≫にしてくれるなら
聖には何も隠し事はしない。”』


『俺、どんな時も唯のコト
最優先にしてるよ?』




聖のしなやかな指が私の顎を捉えて自分の方に向かせる。




『…唯は約束を破るんだ?』




『…っ、ち…がうの!』




『言い訳は聞かないよ。