「これから凛の誕生祝いをするんです。凛の家族も家でみんな待ってる」


「誕生日?……今日が、誕生日なのか?」


「そうですけど。そんなに驚くことですか?」


「そりゃ、今日は……」




日下先生が驚くのは、

今日が『柏木リン』の命日だからでしょ。


そんな日が誕生日なんて。

偶然でもう、済ますことが出来なくなっちゃうよね。




「小鳥遊。おまえは……」


「いやっ!!」




何を言われるのか怖くなって、あたしは清春の背中から離れて後ずさる。


先生が足をこっちに向けた瞬間、あたしは駆けだした。




「小鳥遊!」




背中に日下先生の、痛みをこらえるような声がかけられたけど、振り返らなかった。


家に駆けこんで、すぐにお母さんが出てきたけど。

具合が悪いって言って、部屋に真っ直ぐ向かった。