わからない。

あたしが本当に、この瞬間を待っていたのかなんてもう。


ただ、全身の震えがおさまらないよ。




「なんで、こんな写真が……?」




呆然と、呟いたあと、

日下先生が勢いよく顔を上げて、あたしを見た。




「まさか……!」




今度はさっきよりもキツく、肩をつかまれた。



ああ、ここまできても。


あたしはあたし自身の本当の望みすら、わからないなんて。




「あの引き出しを、開けたのか!?」




顔をのぞきこまれ、揺さぶられる。


情けないあたしは、バカなあたしは、

目をそらすことしか、できなかった。




「答えろ小鳥遊! なんでおまえが俺とアイツの写真を持ってる!?
これは、リンの日記なのか!!」




先生の叫びが、全身に響く。


肩と胸の痛みに耐えながら、あたしは答えを探した。



どうしたい?

話したい?

隠していたい?


このまま両手で、耳をふさぎたい?


それとも両手を、『るいち』へと伸ばしたい……?