「お母さん!」




リビングでテレビを見ていたお母さんに声を掛ける。
私の剣幕に驚いたのか、目を見開いて私を見た。



「どっ・・どうかしたの、いつか?」


それでも悠長なお母さんに、私は1枚の写真を見せつけた。




「ねえっ、この子・・この男の子、見たこと無い?」



私はそう言って、木原くんを指差した。




「えっ、・・あ───」




彼を見てからお母さんは、何かを思い出したかのような顔をして、
しまった、という表情を作る。


「知ってるの?!」
「あ、い、いつか?この男の子がどうかし──」「知ってるの!!?」


私はお母さんに、詰め寄る。
話を逸らそうとしているお母さんは、何故だか言いにくそうだ。




「・・・はぁ。どうしても、聞きたいの?いつか。」




私は、無言で呆れたお母さんの瞳を見つめた。
その様子を見たお母さんは、肩をすくめて、テレビを消した。



「聞いたらきっと後悔するわよ。そして罪悪感を抱くことになる。それでも、いいのね」








私は大きく頷いて、私の過去の・・・いつかの記憶を、聞いた───