「ねぇ、あそこ」
「ん?」
桜井が指差した方向には、西宮乃架が居た。
「乃架だよね」
「西宮、何してんだ?」
よく見ると、男数人に囲まれているようだが・・・。
「あ、何か袋いっぱい持たせてるね」
「荷物持ちかよ・・・」
「いや・・貢がせてるのかもね。あの子モテるし子悪魔系だから」
小悪魔系って・・・
ぶっちゃけ死語じゃね?とツッコむ暇もなく、いつの間にか桜井は歩き出していた。
「お、おい急に行くなよ」
「あ、ごめん。・・・ほらっ、あっち行こ!」
急いで桜井の後を追うと、何だか彼女の目に困惑の色が浮かんでいた。
「どーした、桜井?」
「え、いや・・っていうか、ほら、早く・・!」
桜井が俺を連れ出すより先に、聞き慣れた声が俺の耳を通り抜けた。
「あっ!!陽子ーーー!」
声のした方を振り返ると、嬉しそうに大きく手を振っているいつかと、
その横で驚いた顔をしているささが居た。
「あっ、」
桜井を見ると、罰が悪そうな顔をしていたが、
いつまでもそのままじゃ逆に怪しまれると悟ったのか、笑顔でいつかに話しかける。
「偶然ね、二人とも」
「うんうん、偶然。陽子と木原くん、一緒にお出かけしてたの?」
いつかが、屈託のない表情で俺と桜井に問いかける。
桜井は返答に困っていたので、俺が変わりに答えてやる。
「ああ、さっきそこで会ったんだ。」
「そうだったんだ!」
嬉しそうにニコニコ笑ういつかを見てると、胸が痛かった。
「あ、───じゃあ、俺ら行くなっ!?またな、文人、桜井!」
俺の様子に気付いたささが、俺らを引き離そうとしてくれる。
・・・ありがたい。
いくらもう終わったこととは言え、こうやって二人がデートしているところを目の当たりにするのは辛い。
「うん、アタシらも行こうか、木原」
「あ、ああ」
じゃあねー、といつかの透き通るような声を聞き流して、俺たちは別れた。
「ん?」
桜井が指差した方向には、西宮乃架が居た。
「乃架だよね」
「西宮、何してんだ?」
よく見ると、男数人に囲まれているようだが・・・。
「あ、何か袋いっぱい持たせてるね」
「荷物持ちかよ・・・」
「いや・・貢がせてるのかもね。あの子モテるし子悪魔系だから」
小悪魔系って・・・
ぶっちゃけ死語じゃね?とツッコむ暇もなく、いつの間にか桜井は歩き出していた。
「お、おい急に行くなよ」
「あ、ごめん。・・・ほらっ、あっち行こ!」
急いで桜井の後を追うと、何だか彼女の目に困惑の色が浮かんでいた。
「どーした、桜井?」
「え、いや・・っていうか、ほら、早く・・!」
桜井が俺を連れ出すより先に、聞き慣れた声が俺の耳を通り抜けた。
「あっ!!陽子ーーー!」
声のした方を振り返ると、嬉しそうに大きく手を振っているいつかと、
その横で驚いた顔をしているささが居た。
「あっ、」
桜井を見ると、罰が悪そうな顔をしていたが、
いつまでもそのままじゃ逆に怪しまれると悟ったのか、笑顔でいつかに話しかける。
「偶然ね、二人とも」
「うんうん、偶然。陽子と木原くん、一緒にお出かけしてたの?」
いつかが、屈託のない表情で俺と桜井に問いかける。
桜井は返答に困っていたので、俺が変わりに答えてやる。
「ああ、さっきそこで会ったんだ。」
「そうだったんだ!」
嬉しそうにニコニコ笑ういつかを見てると、胸が痛かった。
「あ、───じゃあ、俺ら行くなっ!?またな、文人、桜井!」
俺の様子に気付いたささが、俺らを引き離そうとしてくれる。
・・・ありがたい。
いくらもう終わったこととは言え、こうやって二人がデートしているところを目の当たりにするのは辛い。
「うん、アタシらも行こうか、木原」
「あ、ああ」
じゃあねー、といつかの透き通るような声を聞き流して、俺たちは別れた。