事故が起きてから数日間。
いつかは目を覚まさなかった。

俺はずっと隣に居て、俯くばかりだった。


いつかのお母さんやお父さんには、そこまで気にしないでくれと逆に謝られた。
それでも俺は申し訳なくて、彼女の傍を離れなかった。


担当医からは、後遺症が残るかもしれないと説明された。



俺は自分を責め続けた。





それから2日後、いつかの瞼が弱弱しく動いた。

俺は、少しだけ救われたような気持ちになって、ベッドに身を乗り出して彼女の顔を覗き込む。






「───いつかっ!!?」






そう叫ぶと、彼女はやっぱり弱弱しく目を開けて、ぼーっと俺を見つめ返した。


かなり、ほっとした。



いつも冷静な俺がここまで取り乱すなんて、この先もこいつ以外のことではきっとあり得ないだろうな、なんて一人で苦笑してしまう。



「・・・だれ、ですか」
「・・・・、・・いつ、か?」
「貴方は・・?」





”だれですか────”






その言葉を聞いた瞬間、再び目の前が真っ暗になって、闇の中に落ちていった。





その後、自分が過労で倒れたことを知らされた。
幸い倒れたのは病院の中だったので、俺は彼女と同じ病院に1日だけ入院して身体は元気になったけれど、










───彼女に会う勇気だけはなかった。