マリアはあたしが忙しそうにしてるといつも手伝ってくれた。


ビニール袋をこう取ってこう箱に被せると速く出来るよとアドバイスしてくれた。


マリアはミルクと同じく頼れる先輩だった。


でもマリアは話すのがすごく早くて、聞き取れないことが多かった。


キウイ(ニュージーランド人)は話すのが早いと言われているけど、マオリはそれ以上だった。


何回聞き直しても聞き取れなくて、呆れられてしまったこともあった。


ネイトの話す英語が分かるのは、あたしに分かりやすくゆっくり喋ってくれているからだった。


ただアジア人の英語は聞き取りづらいらしく、しょっちゅう「パードン?(もう一度)」や「ワッツ?(何?)」と聞き返された。


「メイは恋人いるの?」


仕事に余裕が出来た時、マリアに聞かれた。


「はい。います」


そうあたしには婚約者がいる。