少年は浅黒い肌をしていた。


でも、黒人よりは黒くない。


もしかして“マオリ”?


マオリというのはニュージーランドの先住民族のことである。


アメリカならインディアン、オーストラリアならアボリジニみたいな。


それはガイドブックを読んで知っていたし、ここオークランド空港でもよく見かけた。


ニュージーランドは2011年にラグビーのワールドカップで優勝し、マオリの大きく屈強な体がそれに貢献したと言われている。


試合前にチームで踊る“ハカダンス”はまさに圧巻だった。


しかしオークランドではマオリによる犯罪も多発していて、体が大きく迫力があるのであたしは正直怖かった。


でも今目の前にいる少年は小さくてがっちりしておらず、マオリでも小さい人はいるんだなと思った。


少年は二重の真ん丸い目をしていた。