じっと春菜を見つめている。


「……ん、…そうだ、名前……何で俺だけ『谷口君』なんだよ…。」


いきなり不機嫌になった…。


「えっ……なんとなく…。」

だって…なんか呼びづらい……。


「弘人」

谷口君の顔が近づいてくる


後ずさる私…更に近づく谷口君。

「ほらっ、『ひ・ろ・と』 言え。」

「うっ…ひ、弘人…君。」


見つめられるのに耐えられなくて下を向いて小さな声で言った。



「よくできました。」

チュッ。

頬にキス…された…。


わわわっ…ぅわ──


頬をおさえオタオタする春菜。


「今度名字で呼んだら……。」


ニヤッと不敵に笑う谷口君、いや弘人君…。

「……呼んだら?」


なんとなく嫌な予感……。

春菜の頭を優しくポンと叩く。


「ふっ…秘密。」