「今すぐ別れろ…、今なら見逃してやる。」

右耳に太いリングのピアスを着けた双子の片割れが低い声で威嚇する。

「あぁ!? 寝ぼけてんのか? お前の許可は要らねぇんだよ。」



漂う冷たい空気が辺りを取り囲む。
にらみ会う三人の殺気を裂くように電子音が鳴り響いた。

pppp……

「やばっ!! 帰らないと…!」

今までの殺気を一瞬で消して、慌てる双子。

……なんだ?

「柊兄 !! 帰るわ!!」
「じゃあね~」

バタバタと鞄を掴み、帰ろうとする二人に柊が声をかける。

「ダイ、カイ…、『彼氏君』を出口まで連れて行ってくれる? 途中で絡まれたりされると困るからさ。…もう用はないよね?」

ニコニコと爽やかに笑顔を向ける。

『彼氏君』
そこだけに殺気を込めて…。

「あぁ…、様子見だ…。」

目的は、果たしたし…これ以上コイツらに用はない。
俺のもんは俺が守る。



「女だよ…、アイツじゃない。」

出口の扉を開けた時、背後に聞こえた凍るような声に振り向いたが奴はもうその場所にいなかった。



「女?」

それはどういう人物か…。