孝雄が帰った後は病室が静かで


私は窓の外を見た


外は曇ってて暗い


もう春だっていうのに気温は低い


一人になると裕を思い出す


裕‥会いたいよ‥


コンコン


ドアが開き看護師が入ってくる


「愛理ちゃん、リハビリの時間ですよ」


看護師さんが起きるのを手伝ってくれる


「ねぇ、先に行きたいとこあるんだけど」


「どこ?トイレ?」


「霊安室‥」


















沙菜SIDE


今日もまた朝が来た


「沙菜、おはよ」


ベッドのそばでエプロンをした琉生が立っている


「琉生‥おはよ」


私は琉生の格好をじっと見つめた


「ははっ見過ぎ。朝ご飯作ったから食べよう」


「‥うん」


あんまり食欲が湧かないけど


ダイニングの席につく


「はい、どうぞ」


お皿の上にはクラブハウスサンド


「おいしそう」


かなりの出来栄え


「だろ?この本わかりやすかった」


そう言って料理本を見せる琉生


「フッ‥ありがと、琉生」