「でも…」

「ん?」



さっきまで笑っていた綾部くんは、急に静かに言った。


なんだろう…?



「マジでムカついたわ、あのとき」



ムカついた?


あのとき…って、いつ?



「試合の日」



試合…って、もしかしてサッカーの!?


私が気まずい顔をしていると、綾部くん少し笑って言った。



「宇野って本当肌見離さずだよな」

「なにそれ?」

「いつも自分の傍に置いとかなきゃダメなんだよ」

「…何を?」



きょとんとする私を見て、綾部くんはまたクックッと笑った。


え、なになに?


何なの!? なんで笑うの!?



「ま、いーや。すぐくっつかれてもおもしろくないし」

「何の話?」

「つーか、今日も一緒に行動してたんだろ?」



今日もって…そんなにいつも一緒にいるわけじゃないんだけどな。



「別に…あれはたまたま」