「おつかれ」
隣に人の気配を感じて振り返ると、そこに立っていたのは綾部くんだった。
「お疲れさま」
綾部くんも、今日のこと…知ってるのかな。
もし知らなかったとしても、みんながあんなに大声で話してたんだから、聞こえてたよね?
どうしよう。
なんか、気まずいなあ。
「文化祭、楽しかった?」
「うん、楽しかったよ」
意味も考えずに、軽く答えた。
まさか、あのことを思って言ってたなんて、考えもつかなかった。
「何が1番よかった?」
何だろう?
たこ焼き?
…つまようじだらけの。
お化け屋敷?
…いやいや、ないでしょ。
どれもいまいちぴんとこない。
「何だろ、決めらんないや」
「…宇野が1番?」
「…は?」