一緒に歌わない?

君がそう言って笑った。

新宿駅前で君は歌っていた。

ギター一本だけ抱えて。

グレーの細身なパーカー、なにやらゴチャゴチャした柄のアジアっぽいロングスカート。
モヘアのもこもこしたニット帽。
胸の辺りまで伸びた、くるんくるんのくせ毛。

時間は深夜の3時。

こんな時間に女一人で危ないな…そう思いながらぼんやりと彼女を見ていた。

そうして彼女の方から声を掛けてきたのだ。