あたしみたいな馬鹿な女はきっと、痛い目に遭わないと何も理解しないのだと思う。あたしは何度も左手首を切り、何度も身体を安く売って全てに絶望していた。堕ちていくのは簡単で、上を向かなければそれでいい。そうやって自分をボロボロにして、泥沼の底でそれでも必死にもがいていた。

 そうやって手に入れたはの穢い金と腐った快楽、そして痛みだけだった。

 そんなあたしの絶望を、たった一度の触れ合いだけで彼は変えてしまった。憧れは募り、あたしは彼を追い求めて泥沼の底から空を見上げる。広がる空は汚く澱んでいて、腐臭すら放つ。

 それでもあたしはその汚い空を見上げ続けた。間違いを繰り返して自己嫌悪に陥ったり、罪を背負って泣き喚いたりしながら。それでも空は広がっていて、頑張ればきっと彼に会えると信じた。

 必死にもがき続けて寂しさに負けそうになったその時、まるで最初から目の前にいたかのように彼は現れて、あたしに手を差し伸べてくれた。