一瞬、彼が何を言ったのかが理解できず、ぽかんとしてしまう。そして意味を理解すると、自分の顔が紅潮していくのが分かった。

「ば、馬鹿言うな! なんであたしがあんたみたいな馬鹿中年の子供……!」
「冗談に決まってんだろ、俺だって相手は選ぶわ」
「ちょっ、それ酷くないっ? 十六歳の女の子に向かって!」
 喧嘩腰で言い合っているけど、お互い顔は笑っていた。その言葉が心から言っているのかどうかくらい、あたしにも分かる。

 少しずつ、あたしとアキラとの接し方が、二人なりの形になっているように思えた。あたしはこんな性格をしているから女の子らしくするのは苦手だし、それを強要されても困ってしまうだろう。
 でも、いつもアキラはあたしに合わせてくれる。いや、譲れないこととかについては絶対に譲らないだろうけど、それでもできるだけあたしと同じスタンスでいてくれる。

 それはとても嬉しいことだった。

「仲いいなあ、お前ら」
 ご主人の笑い声が聞こえて、思わずあたしは赤面してしまった。