ふと、あたしは自分の身体の臭いを嗅いでみた。一応エチケットだから制汗スプレーはしているけど、こんな炎天下の下ではあんまり意味がなく、やっぱり汗臭い気がした。
「……あたし、汗臭い」
言った瞬間、即座に後悔した。アキラがあたしの胸元に顔を寄せて、くんくんと臭いを嗅いだからだ。
「ちょ、やめろよ! なに考えてんだよ!」
「いや、俺、お前の汗の匂い、好きだからさ」
「変態じゃない、それって!」
「嫌いって言われるよりゃいいだろ」
「そ、そりゃそうだけど……」
「それに、温泉に着くまでたっぷり汗掻いたほうがいいぜ。その方が温泉に入った時、気持ちいいしな」
何となく誤魔化された気もしたけれど、確かに我慢した方が温泉は気持ちいいかもしれない。でもこれでも年頃の女なんだから、汗の臭いは気になってしまう。
「あんたがよくても、他の連中に汗臭いって思われたら嫌じゃん」
「他の連中って?」
「例えば、今このコンビニで買い物しただろ。店員に「この女、汗臭い」って思われてたら嫌じゃない」
「俺が好きって言ってんだから、別にいいじゃねえか」
あっけらかんと言われて、あたしは言葉に詰まった。そりゃあたしだってその他の雑多な男よりも、アキラの言葉が絶対に嬉しいけど、そういう羞恥心を捨てるのって難しいと思った。
でもその時、アキラの目が妙に子供っぽく見えた。拗ねているような、我侭を言っているような、そんな風に見えてしまった。
もしかして、少しだけだけど、その他の連中と比べられて、嫉妬して怒っているのかな……。
「……ねえ」
「なんだよ」
明らかに不機嫌になった。アキラはまた一気にファイアを飲み干す。そしてジョーカーを咥えると火を点けて紫煙を吐く。ひとつひとつの動作が物凄く乱暴に見えた。
その姿があまりにも可愛くて、彼の頭を思わず胸に抱き締めてしまった。彼がまさかそんな表情を見せてくれるなんて思ってもいなかった。何よりもその子供みたいな表情は可愛らしくてたまらない。
「……あたし、汗臭い」
言った瞬間、即座に後悔した。アキラがあたしの胸元に顔を寄せて、くんくんと臭いを嗅いだからだ。
「ちょ、やめろよ! なに考えてんだよ!」
「いや、俺、お前の汗の匂い、好きだからさ」
「変態じゃない、それって!」
「嫌いって言われるよりゃいいだろ」
「そ、そりゃそうだけど……」
「それに、温泉に着くまでたっぷり汗掻いたほうがいいぜ。その方が温泉に入った時、気持ちいいしな」
何となく誤魔化された気もしたけれど、確かに我慢した方が温泉は気持ちいいかもしれない。でもこれでも年頃の女なんだから、汗の臭いは気になってしまう。
「あんたがよくても、他の連中に汗臭いって思われたら嫌じゃん」
「他の連中って?」
「例えば、今このコンビニで買い物しただろ。店員に「この女、汗臭い」って思われてたら嫌じゃない」
「俺が好きって言ってんだから、別にいいじゃねえか」
あっけらかんと言われて、あたしは言葉に詰まった。そりゃあたしだってその他の雑多な男よりも、アキラの言葉が絶対に嬉しいけど、そういう羞恥心を捨てるのって難しいと思った。
でもその時、アキラの目が妙に子供っぽく見えた。拗ねているような、我侭を言っているような、そんな風に見えてしまった。
もしかして、少しだけだけど、その他の連中と比べられて、嫉妬して怒っているのかな……。
「……ねえ」
「なんだよ」
明らかに不機嫌になった。アキラはまた一気にファイアを飲み干す。そしてジョーカーを咥えると火を点けて紫煙を吐く。ひとつひとつの動作が物凄く乱暴に見えた。
その姿があまりにも可愛くて、彼の頭を思わず胸に抱き締めてしまった。彼がまさかそんな表情を見せてくれるなんて思ってもいなかった。何よりもその子供みたいな表情は可愛らしくてたまらない。