アキラは見た目ちゃんと三十代の男性なのに、その辺を歩いているあたしと同世代の男よりも個性的で、そして何よりも存在感がすごい。根元は黒くなってきているけど、毛先に向かってプラチナブロンド近くまで色を抜いていたり、シルバーのフレームの眼鏡は、オークリーのサングラスを使っていたり、首もとには太いゴールドのネックレス、黒のTシャツには髑髏、色の抜けたジーンズにはクラッシュ、そして足元は雪駄と、どれもこれもが自己主張している。
そんな男だからなのか、妙に人目を引く。一緒にバイクに乗っていて、信号なんかに捕まると、隣の車線の車に乗っている人間がジロジロと彼を見て話の種にしていたりする。
彼はそういう視線の全てをほぼ無視して、時折そんな人間と目が合うと、不機嫌そうな鼻息を吐いて舌打ちをしたりする。
そんなに人目が気になるのなら大人しい格好をしたらいいのにと思ったけど、この男がそんな格好をできるはずがないと、妙に納得してしまった。
「ちょっと休憩すっか」
「うん」
一時間ほど走ったところで、途中のコンビニに止まった。彼はファイアの微糖を2本、あたしはリプトンのストレートを買って、コンビニの軒下に座って喉を潤す。
「晴れてよかったな」
「うん、でも無茶苦茶暑いね」
「仕方ねえよ、夏にバイクだからな」
手で顔を扇ぐ。背中は汗でびっしょりだった。でも、なんというか、バイクで走るのって凄く気持ちがいい。暑いのに風が心地よくて、疾走感というか風を切って走るというか、そんな感覚が快感だった。
アキラは1本目のファイアを、ほぼ一息で飲み干した。呆れて見詰めていると、すぐ2本目のタブを開けた。
「コーヒー、好きなんだね」
「癖みたいなモンだ。仕事してる時が、大体コレを飲んでるからな」
あたしはリプトンをゆっくりと飲む。冷たいストレートティーが喉を通って身体の芯を冷やしてくれる。
そんな男だからなのか、妙に人目を引く。一緒にバイクに乗っていて、信号なんかに捕まると、隣の車線の車に乗っている人間がジロジロと彼を見て話の種にしていたりする。
彼はそういう視線の全てをほぼ無視して、時折そんな人間と目が合うと、不機嫌そうな鼻息を吐いて舌打ちをしたりする。
そんなに人目が気になるのなら大人しい格好をしたらいいのにと思ったけど、この男がそんな格好をできるはずがないと、妙に納得してしまった。
「ちょっと休憩すっか」
「うん」
一時間ほど走ったところで、途中のコンビニに止まった。彼はファイアの微糖を2本、あたしはリプトンのストレートを買って、コンビニの軒下に座って喉を潤す。
「晴れてよかったな」
「うん、でも無茶苦茶暑いね」
「仕方ねえよ、夏にバイクだからな」
手で顔を扇ぐ。背中は汗でびっしょりだった。でも、なんというか、バイクで走るのって凄く気持ちがいい。暑いのに風が心地よくて、疾走感というか風を切って走るというか、そんな感覚が快感だった。
アキラは1本目のファイアを、ほぼ一息で飲み干した。呆れて見詰めていると、すぐ2本目のタブを開けた。
「コーヒー、好きなんだね」
「癖みたいなモンだ。仕事してる時が、大体コレを飲んでるからな」
あたしはリプトンをゆっくりと飲む。冷たいストレートティーが喉を通って身体の芯を冷やしてくれる。