「ま、待たせて、ゴメンね」
「お、戻ってきたな。じゃあ行くか」
 ドキドキしながらアキラにその姿を晒したというのに、アキラは全く気付いてもいない様子でヘルメットを被ってしまった。

「ちょ、ちょっと、あたしなりに頑張ってこんな格好したのに、何の反応もなしなのっ?」
「あ? いや、俺好みに可愛いぜ。俺の好みに合わせたんだろ?」
「え、いや、そういうワケじゃ……」
「じゃあ誰に見せるつもりだったんだ、お前」
「そりゃアキラだけどさ……」

「おい、ヲトメ」
「なによ」
 あっさり自分の好みに合わせたんだろなんて言われたら怒るに怒れないけど、でももっと違う反応を期待していたのに。

「お前って、可愛いな」
 言われた瞬間、顔が紅潮していくのが分かった。そしてアキラの視線が、ミニが出たあたしの太股に向いていることに気付いて、思わずバッグで隠してしまった。

「あんまりじっくり見るなよ、恥ずかしいんだから!」
 アキラがあたしに手を伸ばす。その手を握ると強く引き寄せられて、腰を抱かれてしまった。

「乗れよ、行くぞ」
 その目はやっぱり優しい。そしてどこか誇らしげだった。

「うん」
 あたしはアキラの後ろに座って、やっぱり彼の背中に抱きついた。その場所がまるであたしの居場所みたいに思えて嬉しかった。