牛丼玉子付きを食べた後、二人で映画に行き、それからカラオケボックスに行った。何曲か歌った後、こいつが突然あたしに覆い被さってきた。
 もしもこいつがただセックスがしたいだけだったと感じていたら、あたしは絶対に拒絶したと思う。だけどあたしに覆い被さりながら、こいつの腕は震えていた。目は真剣で潤んでいた。唇を噛み締めて悔しそうにあたしを見詰めていた。

「どうしたのよ、無理矢理でもあたしを抱くつもりなんだろ」
「お前が他の男を好きなのは分かってる。俺じゃ駄目なのかよ」
「好きとか嫌いとかじゃない。あたしはあいつが欲しいの。あいつみたいにあたしはなりたいって思ってる。それだけだよ」
「これってレイプなんだぞ。怖くないのかよ」
「あたしはあんたよりもずっと怖い男を山のように知ってるよ」
 そう告げると、奴はあたしを睨みつけた。あたしはこいつなんか怖くない。例えこいつに強引にされても、店に来たら客として接することができると思う。

 強引に唇を重ねられて、あたしは目をつぶる。そしてされるがままに抱かれた。