ノイズが聞こえる。
手首に剃刀を当てるといつもそうだ。
友達の一人は手首に走るその傷跡を「ファッションだ」と言った。あたしにはどうしても分からない感覚。
手首を切る時、あたしはいつも激痛に耐えている。耐えた先にある不思議な安堵感が欲しくて、どうしても我慢できない。
切ると傷口から血が溢れてくる。それを見てほんの僅か安堵する。どうして安堵するのか、それは分からない。ただ、切らなければいけないという強い思いに、あたしはどうしても逆らえない。
友達は傷口を携帯で撮影してそれを自分の携帯サイトに掲載していた。あたしはその画像を見て小さく溜息を吐く。彼女はただ表面を切っているだけだと分かるから。あたしの傷を見たら、彼女は失神してしまうのではないだろうか。
「よかったよ、二万でいいんだよな」
あたしの身体を愉しんだハゲ親父は汗臭くて堪らなかった。ただお金がないと好きなことができないし、バイトなんてかったるいことはしたくない。それに男に抱かれるのは嫌いじゃない。つながっている相手がこんなハゲ親父でも快感を覚えてしまう。それに同級生の男なんてただ強く激しく腰を振るばかりでつまらない。
ハゲ親父の手からお金を奪い取り、私はそれをブレザーの内ポケットにしまった。こんなハゲ親父の汗に塗れていると思うと気持ち悪くて仕方がない。身体中がこいつの汗と体液で汚染されている気がした。
こういうハゲ親父は一体何を考えているんだろう。あたしみたいなのでも高校生だったら構わないのだろうか。
ああ、まただ。また切りたくなってきた。あたしはどうして生きているのだろう。あたしはどうして切っているのだろう。あたしはどうしてこんなことをしているのだろう。
なんだか、分からないことばかりだ。
こんなハゲ親父にも奥さんがいて子供がいるというのだから笑える。ハゲ頭、二重アゴ、三段腹、濃い体毛、生臭い口臭、アニモニアみたいな体臭、少なくともあたしはこんなのとは結婚したいと思わない。こんな豚みたいな親父と結婚までする女はぜったい頭がおかしい。もしかしたらこいつが金を持っているから結婚したのかもしれない。ただそれでもこいつの子供が欲しいなんて絶対に思わない。
手首に剃刀を当てるといつもそうだ。
友達の一人は手首に走るその傷跡を「ファッションだ」と言った。あたしにはどうしても分からない感覚。
手首を切る時、あたしはいつも激痛に耐えている。耐えた先にある不思議な安堵感が欲しくて、どうしても我慢できない。
切ると傷口から血が溢れてくる。それを見てほんの僅か安堵する。どうして安堵するのか、それは分からない。ただ、切らなければいけないという強い思いに、あたしはどうしても逆らえない。
友達は傷口を携帯で撮影してそれを自分の携帯サイトに掲載していた。あたしはその画像を見て小さく溜息を吐く。彼女はただ表面を切っているだけだと分かるから。あたしの傷を見たら、彼女は失神してしまうのではないだろうか。
「よかったよ、二万でいいんだよな」
あたしの身体を愉しんだハゲ親父は汗臭くて堪らなかった。ただお金がないと好きなことができないし、バイトなんてかったるいことはしたくない。それに男に抱かれるのは嫌いじゃない。つながっている相手がこんなハゲ親父でも快感を覚えてしまう。それに同級生の男なんてただ強く激しく腰を振るばかりでつまらない。
ハゲ親父の手からお金を奪い取り、私はそれをブレザーの内ポケットにしまった。こんなハゲ親父の汗に塗れていると思うと気持ち悪くて仕方がない。身体中がこいつの汗と体液で汚染されている気がした。
こういうハゲ親父は一体何を考えているんだろう。あたしみたいなのでも高校生だったら構わないのだろうか。
ああ、まただ。また切りたくなってきた。あたしはどうして生きているのだろう。あたしはどうして切っているのだろう。あたしはどうしてこんなことをしているのだろう。
なんだか、分からないことばかりだ。
こんなハゲ親父にも奥さんがいて子供がいるというのだから笑える。ハゲ頭、二重アゴ、三段腹、濃い体毛、生臭い口臭、アニモニアみたいな体臭、少なくともあたしはこんなのとは結婚したいと思わない。こんな豚みたいな親父と結婚までする女はぜったい頭がおかしい。もしかしたらこいつが金を持っているから結婚したのかもしれない。ただそれでもこいつの子供が欲しいなんて絶対に思わない。