「・・・本当はわかってるんだ。」
「えっ?」
「中川さんは俺のことなんて見てないってこと。」
小さいけれど、はっきりとした口調だった。
「中川さんが誰を見てるかなんて、大学んときから知ってる。」
どきっとした。
知ってる?
私が誰を好きか・・・?
「でも諦められなかったから。
だから、
伝えようと思った。」
車道を車が通りすぎて、航太くんの顔が一緒照らし出される。
真剣な表情。
徹平たちと花見をしたあの日も、こんな表情だった。
そうか。
航太くんはわかっていたんだ。
あの日、私が泣いていた理由を。