「ごめん。」
「えっ?」
私が謝ることはあっても、航太くんが謝るところじゃないと思うけど・・・
驚いて見上げると、申し訳なさそうにこちらを見る航太くんと目があった。
「俺があんなこと言ったから、だよな。
あれからずっと悩ませてる。」
あんなことって・・・告白、のことだよね。
「話せるようになったら会いたくなるし、会えたら気持ちを押さえらんねぇし。
ガキかって感じだな、俺。」
ふっと息を吐き出して、路地の壁によりかかった。
影になってはっきり表情は見えないけれど、きっとあのつらそうな、寂しそうな顔をしているんだろうと思った。
しばらくの沈黙。
私の不注意で迷惑をかけたのに、航太くんは自分のことを責めている。
そんなことないのに。
それを伝えたいのに。
うまく言葉が出てこない。