ひとしきり笑って、私たちはお店に入った。
「私、ここ来てみたかったから、嬉しいよ。」
これは本当。
雑誌に載ってるのをみちると見て、今度行こう!って話したくらいだ。
店員さんに続いて前を歩いていた航太くんは、少しこちらを振り返り、
「もう今は、どんなフォローされても恥ずかしい‥」
と、まだ赤い顔をしかめたのだった。
女性客ばかりかと思った店内は、確かに女性もいるけれど、男性の姿もちらほらあり‥どちらかというとカップルが多いようだった。
「男の人もいるね。一人じゃなくて良かったね。」
目の前の航太くんに、ちょっといたずらっぽく言うと、
「‥うるせ。」
睨まれた。
予想外にボリュームのありそうなディナープレートを注文して、店員さんオススメの果実酒を頼んだ。航太くんはビールだったけど。