「‥早いな。」



待ち合わせ場所に先についていた私を見て、航太くんは少し驚いた顔をした。


それもそのはず。

まだ約束の20分前だから。


「早く準備できちゃって。駅前ぶらぶらしようかなーと思って。」


張り切って来たのバレたかな、とちょっとドキドキして、下を向きながら言い訳をした。




「‥楽しみにしてくれてたのかなって嬉しい。」


航太くんの小さいけれどはっきりとした言葉に、顔を上げた。


そこにはやっぱり犬みたいにくしゃりと笑う航太くんがいて。


その笑顔をみると、私まで嬉しくなるのはなぜだろう?


きゅっ‥と喉のあたりが締め付けられた後、
どきどき。心拍数が上がった気がした。


「行こっか?」


優しく言って笑う航太くんに、なんだか私はどきどきが止まらなかった。