みちるの言葉のおかげで、なんだか吹っ切れた私は、先週よりもずっと穏やかな気持ちで土曜日を迎えることができた。





そんな私は今、鏡の前で自分とにらめっこ中。

「う゛ーん‥」


今日は思い切ってスカートをはくことにしたものの‥。

「なんでスカートはくと、一気に気合い入ってる感じになるんだろ‥」


デート楽しみにしてました!張り切っちゃいました!

と、全身が物語っている気がして恥ずかしい。

やっぱりやめようか、とファスナーに手をかけて‥

『次はスカートはいていきなよ!女子力アップ!』

というみちるの言葉が頭をよぎった。


「でもなぁ‥」


うぅ‥と呻きながらクローゼットを開く。

その時ふと目にとまったのは、この間一目惚れして買ったマキシワンピ。


「これもスカート‥だよね!」


みちるは『短いのはいて、女のフェロモン出す練習しなきゃダメ!』とか力説してたけど‥。

やっぱり私には無理!!


と、いうわけで、マキシワンピに半端丈のボレロを羽織った。

髪はハーフアップで毛先だけちょっと巻く。


こうして準備している間は、やっぱりそわそわ‥自分を着飾るのって、くすぐったいけれど、楽しい。


徹平が好きで、なんとか振り向いてほしいってがんばってた時期も、こんな風にそわそわした。


徹平がかわいいって言ってた服装にチャレンジしたり、

好みだってきいた髪型にしてみたり。


でもいつからかその努力はしなくなった。


どんなに自分をかわいくしても、好きな人が私を見てくれることはなかったから・・・。


でも、今こうして着飾った自分を見ると、わくわく、あったかい気持ちになる。


航太くんと出かけるようになって、こういう気持ちを久しぶりに感じた。


この気持ちを思い出させてくれた航太くんに感謝しないと。