一通り出来事を話し終えて、私はまたウーロン茶を飲んだ。

「なぁんかイイ感じだねぇ~!」

みちるが楽しそうに笑う。

イイ感じ‥かぁ。

周りから見れば、私と航太くんは今、距離を縮めつつある、のかなぁ‥?

でもなんだかピンとこない。

「好きなの?」

「うー‥ん。
好き、とは違う気がするんだよね‥。」

航太くんを好きなのか考えていると、最後はいつも徹平と比べてしまう。

徹平のことを考えると、なんだか切なくて、苦しくて。
会いたくてたまらなくなったりして。

いつでもそばにいたいって思ってた。

徹平の隣に私じゃない女の子がいることが耐えられなかった。


じゃあ航太くんは‥?




よくわからない。


会ったら楽しい。

もっと一緒にいたいって思う時もあるし‥。

でも、だからっていつも一緒にいたいわけじゃないし、会えなくても別に平気。

これって好きなわけじゃない気がする‥。


「おーい!綾!」

みちるの手のひらが目の前で揺れて、我に返る。

「眉間にしわ寄ってたよー」

苦笑しながら眉間をたたかれた。



「まぁ、そんな深く考えなくてよくない?」

「え?」

「綾は律義すぎ!」

「律義?」

「そ!この人のこと好きなのかな、とか。
好きかわからないままデートとかしてて大丈夫かな、とか。
どうせ余計なこと考えてるんでしょ?」

・・・図星だ。

航太くんが、万が一、万が一にも私を本気で好きでいてくれたなら。

今私のしてることは失礼なんじゃないかって‥心のどこかで思ってた。

好きかわからないままデートの誘いに乗って。

ご飯ご馳走になっちゃって。

都合よく、寂しさを紛らすのに使っているような気がして‥。

「会ってて楽しいんなら、それでいいじゃん。」

みちるは、あっけらかんとそう言い切った。