「ありがとうございました―」

店員さんの声とともに航太くんが出てくる。

本当にご馳走になっちゃって良いのかな‥?

航太くんの様子をうかがってみる。

でも今さら払う払わないで言い合うのも変かな。

素直にご馳走になろう。

「ごちそうさまです」

言いながら、ぺこりと頭を下げた。

「いーえ。」

目元にくしゃりと皺を寄せて、笑う。

「じゃあ今度は中川さんがおごって。」

「あ、うん!もちろん!」

ご馳走になりっぱなしは悪いし、ぜひそうしたい。

勢いよく答えた私に、航太くんは目を見開いて、それからすぐに笑って言った。

「冗談だよ。でもソレ、またメシ行ってくれるってこと?」

「‥え?」

「来週の予定は?」

「来週‥?」

「土日空いてる?」

「今のところは‥」

「じゃあ決まり。土曜日の夜。」

完全に航太くんのペースで話が進む。

そういえば今回の約束も、こんな感じで決まったような‥。

「待ち合わせは今日と同じでいい?」

「あ‥うん。」

呆気にとられたまま頷く。


目元に皺を寄せたまま、航太くんも頷いた。