土曜日。


私は朝からクローゼットを睨んでいた。

「何着ていこう‥。」

あんまり可愛らしいコーディネートをするのは、気合い入ってる感じで嫌だし。

かといってあまりにも手抜きな格好もしたくない。

「あ、この間買ったトップス、まだ着てないなぁ‥」

スカートはとりあえずナシ。
気合い入ってる象徴みたいな格好だし。

デニムのパンツにしようか‥
ちょっと色気なさすぎ?


「もー‥疲れてきた‥」


結局、ショートパンツにこの間買ったばかりのトップスを合わせることにした。

「悩んだ割には無難にまとまってしまうこの悲しさ‥」



でも服は決まったし、とりあえずゆっくりしよう!


コーヒーを淹れて、トーストを食べて。

いつものまったり休日に戻った。




約束は6時でまだまだなのに、朝からそわそわする自分がいる。


洋服に迷ったり、どこに飲みに行くのだろうとドキドキしたり。


なんだか胸がこそばゆい。


でも不思議と嫌な気分ではなくて。


こんな感覚、いつ以来だろう。


無理矢理とはいえ、誘ってくれた航太くんに感謝しなきゃ、なんて思ったり。


徹平に航太くんとのことを言われたときはあんなに嫌な気分だったのに、
今は私、航太くんと会うのを楽しみにしている。


「変なの。」


ふふ、と笑いながら、少しぬるくなったコーヒーを飲んだ。