「みちる‥好きな人でもできたの?」
今のセリフ。
かなり実感がこもってた気がする。
「え?いや、なんかそんな気がしただけ!
このお皿ここだっけ?」
拭いたお皿を棚へとしまってくれる。
長い付き合いなので、私の家のどこに何があるか、みちるはほぼ把握している。
その背中を見ながら、今日あったことを思い出していた。
「わかってたんだけどね。ショックだったの。」
「・・・何が?」
「徹平にホントになんとも思われてないんだなって」
言いながら、胸が痛んだ。
涙がにじみかけて、深呼吸する。
「そんなこと、ずっと前からわかってたのにね。」
笑おうと思うのに、涙が出そうで、噛み締めた唇が震えた。
「綾・・・。」
「あははっ!
もうやだなぁ、さっさと新しい恋しないとね!」
「・・・あや~!」
みちるがガバッという効果音がつきそうな勢いに抱きついてきた。
「ちょっと!何!?」
「私は綾が好きだよ―!」
胸の中でみちるが綾のこと愛してるだのなんだのと叫んでいる。
押し倒されそうな力に危険を感じ、必死にみちるの体を引き離すと、
「また合コンしちゃう?」
顔をあげたみちるがにやりと笑った。
「琢磨と航太くんはもういいよ!」
二人で吹き出す。
こらえたはずの涙がこぼれた。
でも心は温かかった。
みちる、ありがとう。
時間かかるかもしれないけど、私、がんばるよ。