平日ならちらほらと帰宅する会社員や学生が通るけれど、

今日は土曜日。

それも時刻はすでに9時をまわろうとしている。


人通りはほとんどなかった。


誰も通らないのをいいことに、私は泣き続けた。



不意に、携帯の着信音が鳴った。


驚いて肩が震える。

ゆっくりと携帯を取り出すと、メールがきていた。


『わかった。またかける』


航太くんだ。



「‥はぁー‥」



驚いたおかげで、涙が止まった。



頬を拭い、立ち上がる。




視界の端に人影がうつって、振り返った。



背の高い男の人が、ジャケットのポケットに手をつっこみ、こちらを見ている。


今一番会いたくない、といっても過言ではない人だった。





なんでこんな時に・・・。





神様がいたとしたら、私は嫌われているに違いない。