「あ―‥なんか見とれちゃって?」

自嘲気味に笑う私に、みちるの表情がくもる。

「ねぇ、綾‥やっぱりまだ徹平のこと‥」

『ただいまより、写真撮影をおこないます。親族の皆さまから、順にこちらへ‥』

みちるの言葉を遮るように、アナウンスが流れた。


「行こ!」

花びらを絨毯の上に放って、歩き始めながらみちるに声をかける。

みちるは納得いかない顔のまま、黙って後ろについてきた。

結婚式も、披露宴も、とても和やかに進んだ。

誰もが穏やかな笑みを浮かべ、二人を見守っている。


ただひとり、私を除いて。