「学生ん時からすげーモテるのに、あんまり彼女とか作らないんだよなー」


「確かにカッコイイよね。爽やかだし。」

みちるが頷く。

「え、航太みたいのがタイプなわけ?」

琢磨が眉をひそめてみちるを見る。


「少なくとも琢磨よりかは航太くんがいい。」

きっぱり断言して、みちるは鍋に箸をのばした。


琢磨はむすっとして黙り込んでしまった。


「でも俺、たぶん航太のタイプは綾みたいな感じのコだと思うんだよな―」


新しい缶ビールのタブを引きながら、徹平が言った。


「綾はどうなんだよ?」


「え?私は‥」


「綾が嫌じゃなかったら、一回二人で遊びに行ったりしてみたら?」





徹平。


それは酷だよ。






顔がひきつるのを感じながら、必死に平静を装った。



「航太くん彼女いると思うよ?」


なんとか笑顔を保ち、そう答えた。


「え?でも・・・

「あ、ビールなくなったね!
新しいの取ってくる!」

琢磨が何か言いかけたのを遮る。




もうその話をしたくなかった。





私は徹平にとってただの女友達。

わかっていたけど、面と向かって他の男の子をすすめられるなんて。



これ以上は耐えられそうになかった。