「徹平が結婚したなんてまだ信じらんないよなー!
あ、それ俺の肉!」

琢磨が取ろうとしたお肉をみちるの箸がさらっていった。


「早いもん勝ちですから~!

そんなに取られたくないなら、お肉に名前でも書いとけば?」


みちるはつん、と顔を逸らして肉に食らいつく。


「みちる、今日は一段と琢磨に厳しくない‥?」


普段からよくケンカみたいなのはしているけど、今日はなんだか雰囲気が違う。

「別に!」

みちるはぐびっと音をならして梅酒を飲んだ。



「琢磨、お前なんかしたんだろ?」

徹平が琢磨の腕をこづく。


「え?‥あー‥」


珍しく琢磨が言葉につまっていると、


「なんっっにもないから!
至って普通ですから!」

みちるが大きな声で言い放った。


「何したんだよお前‥」


徹平が琢磨を睨みながら呟いた。

琢磨は気まずそうにみちるを見ているが、
対するみちるは一切目を合わすこともなく、黙々と食べている。





「あ、そういえば綾、航太と仲良くなったらしいな。」


空気を変えようと、徹平が話をふってきた。


「いや、仲良くはなってない‥と、思う。」


「そういや合コンの後、二人で帰ってたな~」

琢磨が余計な一言。

「合コン!?
綾、合コン行ったのか?」

珍しいなぁ~と笑う徹平。

できれば徹平には知られたくなかった。

「合コンじゃないよ!ただの飲み会!
航太くんには、ただ普通に送ってもらっただけだし。」


器の中の餃子をつつきながら答えた。


「航太いいやつだよ。オススメ。」

徹平がふわりと笑いながら言う。



大好きな笑顔で、そんなこと言わないでよ。