赤外線でお互いの連絡先を交換する。
航太くんはあれ以来一言も喋らず、それが余計に居心地を悪くさせる。
「あ‥じゃあ‥」
高瀬航太という名前が登録されたのを確認して、航太くんを見る。
「‥じゃ、また。」
軽く会釈をして、航太くんはエントランスを出ていった。
その後ろ姿を見送りながら、私は首をかしげた。
どうして急に連絡先なんて聞いてきたんだろう。
突然の告白からはじまって、私には不可解な行動ばかり。
鍵を開けて家に入り、ソファに腰かける。
買ってきた洋服を丁寧に取り出し、タグを切った。
「てか、彼女いるのに他の女に連絡先きくって‥」
ただの遊び人なのかも知れない。
ヤツには気をつけよう。
そう心に決めて、洋服をクローゼットにしまった。
「最高の一日のはずだったのに‥」
私はなんだかもやもやした気持ちのまま、一日を終えたのだった。