「あんな可愛いコ、あいつにはもったいないよね~!」

ふいに隣から声をかけられ、
足元の白い絨毯と、散った花びらを見つめていた私――中川 綾――は、我にかえる。

「ね、綾もそう思うでしょ?」

「あ~‥うん。だよねぇ。」

慌てて笑顔をつくり、声の主を見た。



彼女、早坂 みちるは、大学の友人。
社会人になったいまでも、月に何回か飲みに行くほどの仲だ。



「ちょっと綾!なんでまだそれ持ってんの?」

みちるは、私が右手に握りしめたままの花びらを見て、あきれたように言った。