部屋中にお気に入りの歌手の歌声が響いている。


「んー‥」


枕元の携帯を手に取り、着信であることを確認すると、通話ボタンを押した。


「あ、もしもーし、綾?」

朝から高いテンション。
昨日あれだけ飲んだとは思えない。

「みちるー‥?おはよー」

対する私は、まだ眠い目をこすりながら起き上がった。

「昨日はごめんねー!最後の方あんまり覚えてないんだけどー」

あははー、と笑う。

「んー。琢磨もけっこー酔ってたから、無事に帰れるか心配したよー」


「あー‥

大丈夫だったよ。」

ん?
なんか今、変な間があったような‥


「綾は?航太くんと二人で帰ったの?」


航太くん、という言葉に、昨日の帰りの出来事が蘇った。


「うん‥家まで送ってくれた。」


みちるにどこまで話すべきか、まだ働かない頭を必死に動かす。


「えー!?超優しいじゃん!」

「いや、でも‥なんかよくわかんなかった。」

「は?何がわかんないの?」

「んー‥からかわれた‥のかな?」


手元にあった枕を抱き寄せながら、首をかしげる。
自然と語尾は疑問系になってしまった。

「からかわれるって?何か言われたの?」


「うーん‥」

みちるには言ってしまおう。

「‥告白‥された‥。」



「えっ!綾も‥?」


「“も”‥?」


「あ、ううん。なんでもない!

告白って‥またいきなりだねぇ~‥なんて返事したの?」


「返事も何も、笑われて終わった。」


私は、昨日の出来事をかいつまんで話した。