「でもさ、綾が合コンなんて珍しいよなー」


いつのまにかビールから芋焼酎にかわったグラスを傾けて、琢磨が言った。


「ほっといてよね。
てか、ほぼ知り合いなんだからすでに合コンじゃないじゃん。
飲み会じゃん。」

鶏のからあげにレモンを搾りながら答える。



「あんま合コンとか行かないんだ?」

こちらは最初からビールを飲み続けている航太くん。


「んー‥なんかそーいうの苦手で。」


「人覚えないしねー」

と、隣からみちるが笑った。


「へー‥合コン行ったらモテそうなのに。」


航太くんは、真剣な表情でさらりとそう言った。

「お世辞はいいよ~」

苦笑しながら返すと、

「いや、中川さん普通にモテるでしょ?」

やはり真顔で返されてしまった。


「綾はねー、無自覚なの!
自分がモテてるって気付かないのよねー」

そう言って、みちるはビールを飲み干した。
顔がほのかに赤くなっている。

「で、チャンスを逃し続けて今に至る!」

琢磨が続ける。


「もー、うるさいなぁ。
別にモテてもないし、チャンスも逃してないし!
てか、チャンスとか全然なかったし!」

なかばふてくされながら唐揚げを口に運ぶ。


「これだから‥
何人の男がこの鈍さに涙したことか‥ねぇ、みちるさん?」

「ホントにねぇ、航太さん?」


琢磨とみちるが、大げさに目配せをしてため息をつく。


「いや、意味わかんないし。
何のノリなわけ?」


あきれながら顔を前に向けると、航太くんと視線がぶつかった。