〖ガラスの母〗

「ママぁーっ!」

朝から私を呼ぶ声。

「どうしたの?倖?」


カーテンの隙間から覗き込む。

「ジュース零しちゃったぁー」

今にも泣き出しそうな声で、
私の元へと歩み寄る。


「あーぁー・・・」
「しょうがない!倖も一緒に片付けるわよ!」



私は専業主婦の〖三咲 宝〗(26)。
そして、一人娘の〖倖〗(6)。


でも、倖が小さい時に
私は夫と離婚した。

倖は私が引き取った。


「ホラ倖、幼稚園行くよ」

「ママ手つないで?」


「仕方ないわね・・・」

私の愛しい宝物。



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「スミマセーン」
「遅れちゃいました」


幼稚園に着き、遅れた事を先生に謝る。


「大丈夫ですよ」

「そうですか」
「それじゃぁ、失礼します」


「ママっバイバイ!」


倖が私に手を振る。

「いい子にしてるのよ、バイバイ」


─ドンッ─

その時、
私は真正面から何かにぶつかった。



「きゃぁっ!?」

「スミマセンっ!大丈夫ですか・・・?」